ピアノ(というより音楽)に興味があるけれど何からすべきか、

という弟からの連絡に何と返すべきか迷う

 

当然のことながら私は音楽のプロではないので

人並のことしか言えないのだけれど

 

ピアノを長く続けていたことと

その間に管楽器もいくつか演奏していたこと

そして、管楽器や歌のピアノ伴奏、八重奏、オーケストラの吹奏楽編曲版、さらには300人近い超大編成、

と様々な角度から音楽に関われたこと

何より、音楽を愛している人が周りに多くいたこと

 

音楽という畑で私は何も持ってはいなかったけれど、

それでも根気よく、小さな努力を積み重ねた15年のなかで学べたことはたくさんあったと思う

今は、そう思う

 

音楽から離れて10年近く経つわけだけれど

楽譜はさっぱり覚えていないのに指は勝手に曲の続きを弾くし、

プーランクの中にラヴェルを感じる心も変わらずに持っている

唐突に吹奏楽コンクールの課題曲(なかでも「薔薇戦争」)を聴きたくなるし

合唱曲を聴けば頭の中で伴奏の音階が歌う

 

昔のように演奏できなくとも、私は何も失っていないな、なんてね

 

色々考えた末、音楽史の本と、動画をひとつ勧めることにした

ショパンコンクールでたたかう「調律師」にスポットを当てた番組

BSで再放送していたのを見て以来、なんだかずっと心に残っている

 

管楽器と向き合ったとき、(私にとっては、とくにトロンボーンと向き合った時期)

「音色(おんしょく)」というものについて考える場面が多く、それは、ピアノにもすごく生きた

世界に、別の視点を与えてもらったような感じがして

 

この番組に惹きつけられたのは

その頃考えていたことや、先生や先輩にかけられた言葉たちが

ありありと浮かび上がってきたからかもしれない

まさにこれは音色をつくるプロの世界で、それをただひたすら、美しい、と思った

 

ピアノの調律を見て、管楽器を見たような気がしているのかもしれないな

私はいつもそんな風だ

ものごとの中に、いつも別のものを透かして見ている

 


2015.12.23 Tuning the Battle: Behind the Chopin Piano Competition (NHK)