原田マハ『楽園のカンヴァス』を読み終えた
ゆっくりのんびり楽しもう、と思って
一昨日、一昨昨日と一章ずつ読んでいたのに、
昨日はもう、だめだった
止まることが出来なくて、三章からラストまでノンストップ
ゆっくり読もうと思ったのに止まれなかった…と母にぼやいたら
「面白いと思ったら、あなたが止まれるわけないでしょ」とのこと
よくご存じで
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わたしたちは
人間関係や、肩書き、ポジション、男女のかけひき
そういうものたちに囲まれて生活しているうちに
純粋な想いを、忘れてしまう
情熱や、最初のころの決意や、愛情
まっすぐな気持ちを
いや、正確には忘れてはいないんだろう
ただ、たくさんの上澄みに紛れて、見えなくなってしまう
たくさんの人間の思惑に揉まれながら、もがいているうちに、少しずつ
失ったわけではなくとも
深海の底にゆっくりと沈んでいくように、少しずつすこしずつ
見えなくなってしまう
この物語は、
そうして見えなくなってしまった大切なものを
すくいあげて、自分の中心に置きなおすこと
その喜びを思い出させてくれる気がした
わたしが夢中になっていたものはなんだっけ。
ただ単純に好きだと言えるものごとはどこにあったかな。
全てのしがらみを手放して、残るものは。
静かに、だけど確かに、心揺さぶられる
わたしはなにも忘れていないし、
わたしはなにも失っていない
心の奥底に眠る純粋な想いを、すくいあげて生きたい
そんなふうに、思えた
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アートミステリー、今まであまり触れてこなかったジャンルだったけれど
とてもよかったから、他の作品も見てみようと思う
絵の具の香り、流動の時代、評価されない画家の想い…
絵が描かれた時代に、想い馳せた
きっと、誰もが美術館に行きたくなる、物語