久しぶりに長い連勤、やっと終わりが見えてきた、という昨夜

理由もなく、涙がこぼれてきた

何を考えても、何をしても全部だめで、

すべてが悪いように感じるし、不安ばかりが大きくなって、どうしようもない

こういうときは潔く、

きちんとご飯を食べて早く寝るに限るのだとわかってはいても、

思考はひとりでに悪い方へ転げ落ちていく

 

ぐすぐすと泣くわたしに、

心も体も、ちょっと凝っちゃったかな、と彼はやわらかく声をかけてくれる

なんでこうなっちゃってるのかわからない、と言うと

ちいさいことが積もり積もってしんどくなることもあるよね、と返ってきた

そうなのかも、しれない

 

無理に元気づけようとするわけでもなく

理由を聞きだすわけでもなく

適度な距離でしずかに寄り添ってくれる恋人に、もう何度も救われている

 

穏やかな彼の言葉と空気は、

森の中、あるいは湖のそばに似た感じがする

静かだけれど無ではなく、淡々と優しくそこにある

それってすごいことだ

 

泣いていい、すっきりすることもあるから、という言葉で、ふいに『星々の舟』の、ある場面を思い出した

 

〈ばかだなあ。なに我慢してんだよ〉沙恵の頭をくしゃっと撫でて、彼は言った。〈いいから、ほら。はやく泣いちゃいな〉

それが、限界だった。

 

 好きな小説を挙げて、と言われたら、必ず入れるであろう1冊

ビジネス書と実用書以外の読書からしばらく離れていたころ、

久々に小説でもと思い立ってこれを手に取った

 

選んだのは偶然だったけれど、

どうして小説が好きだったのかをあっという間に思い出させてくれ、

わたしはまた読書の日々に舞い戻ったのだった

美しい描写と、透明な切なさ、一定の、低い温度感

 

この時期に読みたくなるのは、

本全体に寒い印象があるからなのか

それとも短編のひとつめが『雪虫』というタイトルだからなのか

 

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週間天気予報の最低気温に、2℃、という文字が見えて

冬支度をしなければ、と少しばかり気が重い

冬は好きだけれど、もう少し待って、まだ秋でいて、と毎年のことながら思うのだ

 

以前から気になっていた、宅配のクリーニングを先日試してみた、のだけれど、

ぽやぽやしていたら返送日時の設定を間違えてしまい、わたしのコートや厚手のニット、ウールのスカートたちは、11月3日まで届かない

それまで、持ちこたえられるだろうか

 

気持ちをたしかに持って

どうにかこうにか、進もう

 

 

星々の舟

星々の舟