最近、おすすめの本はある?と聞いてもらえることが多くて、うれしい
久しぶりに本を読みたい、とか
今まであまり読んだことがないんだけれど、とか
描写の美しいものでなにか一冊、とか
恋愛ものは避けて、可能ならエッセイで、とか
そんなふうに、本を読もうと思ったときに思い出してもらえる、というのは
わたしにとってはすごく幸せなことだ
これまで、本を勧め合うなんてことができるのは
弟くらいのものだったから(ある意味では祖母や母、父もそうかもしれないけれど)
わざわざ連絡をもらえたりすると、心のなかがぽわっとあたたかくなる
勧めてから、いつも「この本でよかったのかな…」とか「好みに合わなかったら申し訳ないな…」とか、
ひとり反省会をはじめてしまうタチなんだけれど
わたしが相手の価値観を完全に理解する、なんてことはできないし
わたしが個人的に好きなものを相手に必ずわかってもらおう、なんて
とんでもなくおこがましいことなんだよなあ、って思えるようになった、ようやっと
だからわたしが出来ることは、
相手と同じような気持ちのときに、自分が手を伸ばすだろう本を、考えること
ただそれだけ
本当に、ただそれだけ、だ
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あと「個人的に好きなもの」には総じてどこか翳があるというのも
単純に「これ好きなの、読んで~!」と勧められない原因かもしれない…
暗い本を読むと影響を受けてしまうからと、かなり警戒したりするのに
結局、好きな本を選ぼうとすると、ちょっと翳のある本ばかりが並んでしまうのだった
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過去最大にショッキングだった読書体験をあげるとするなら
弟が、お姉ちゃんこれ読んで~と無邪気に持ってきた本が
結末に向かえば向かうほど暗く、救われず、バッドエンド、と言ってよいような結末を迎えたこと
茫然としながら、なんでこれを勧めたの…?と聞いたら
この絶望的な気持ちを一緒に味わってほしいと思って、と返ってきた
ええええ、君ってそんなタイプだったの?
本の中身と、弟の発言、ダブルの衝撃
あらすじを読んだりしていれば予想は出来たはずなんだけれどねえ
まさかそんな本を勧められるとは思っていなかったんだもの
その後しばらくは、弟から本を勧められるたび「それ、絶望するやつ?」と確認していた
引きずっている、笑
ちなみに内容は、府中三億円事件の話です、気になる方はぜひ